私、プレイヤー辞めねえってよ。
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音楽。
プレイヤーを選んだのは、小学生の頃だった。
あの頃は純粋に音楽を楽しんでいた。初めて立ったコンクールのステージは照明のせいかきらきらしていたし、熱かったなあ。
楽器は色々したけれど、ピアノだけはもう少し真面目にやっておけばよかったと後悔している。
実家にあるの、運んでもらおうか、なんて。
ある楽器と出会ったのは中学生の頃だった。
あれは運命的な出会いだった。
とにかく夢中になった。楽しくて仕方がなかった。
朝も昼も夕方も夜も休日も、楽器ばっかやってさ。
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それから数年後、挫折ってやつに、私は負けた。
楽器ケースを開けることが怖くなった。
音を出しても、それは出しているだけで。
粗探しばかりして、またケースに戻す。
人前で演奏しようとすると震えが止まらなくて、とても怖かった。全く楽しくなかった。
音楽が嫌いになりそうで怖かった。
今思えば、そんな自分が嫌いになりそうで怖かった、のかもしれない。
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少し前にベースを購入したのは、初心に戻りたいとかやり直したいという気持ちもあったからだ。まああの楽器に出会う前も出会ってからも、ベースを弾きたいという気持ちがあったことも事実だが。
購入してからも、始めようとするまでには時間がかかったけれど、触ってみると、基礎練習をしているだけで楽しくて仕方がなくて。
ああ、こんな感じだったな、って。
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最近、ベースのケースも開けられなくなってしまった。
楽器は自分の状態をストレートに教えてくれる。
今の私を、知ることが怖くて。
でもそんな恐怖以上に、楽器に触れられるということがどんなに素晴らしいことかは、知っているはずだ。
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明日の天気予報は曇りのち晴れ。
もし、出来れば。
公園でベースを弾いてみようか、なんて。
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